第一内科について

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ニューヨークより

平成10年卒 亀﨑 健次郎

2009年9月よりアメリカ合衆国のニューヨークにあるMount Sinai School of MedicineのDr.Snoeck研究室に留学しています。九州大学での研究生時代には、下田和哉先生(現宮崎大学教授)の指導のもと、血球細胞におけるJak-Statシグナルに関して研究しました。2007年に遅ればせながら学位を取得し、数年にわたる病棟での臨床経験ののちに、この度、ポスドクとして留学させて頂いております。現在は、造血幹細胞や白血病におけるTGF-betaシグナルの役割に焦点を当てて研究を始めています。Mount Sinai School of Medicineはマンハッタンの大変富裕な地区であるアッパーイーストと,スパニッシュハーレムとの境界に位置しています。決して大きな施設ではありませんが、病院は1852年創立で1932年にはクローン病が初めて報告された病院としても有名です。ボスのDr. Snoeckはベルギー人で、他のメンバーは一人のアメリカ人のほかは、イタリア、スペイン、インド、中国、アルジェリア、ガイアナと、ニューヨークの多くの研究室がそうであるように、非常に多様な国々の人から成り立っています。

私たちの住むアパートはマンハッタンの北のハリソンという町にあります。イタリア系アメリカ人の多く住む、陽気で人に優しい町で、日本人駐在員や研究者などの短期滞在者が比較的多く住んでいます。マンハッタンから少ししか離れていませんが、緑豊かな静かな町です。ニューヨークといえば、美術館、ミュージカルなどのエンターテイメントが思い出されるでしょうが、もともとそれほど文化的な生活を送っていなかった私たちの家族には、自然に恵まれたこの町が合っているように思います。渡米直後よりこちらのpublic schoolに通い始めた長男もESL(English as a Second Language;英語を母国語としない子供への英語教育)などの教育環境の整った郊外の学校が気に入っているようです。こちらの学校を見て驚いたのは、各学校が非常に広い敷地を持っていることです。小学校にフットボール、野球専用のグラウンドがそれぞれあり、その他にもテニスコートがあったりします。週末には一般向けに開放されており、地域の住人が自由に使っています。

私も、地元と日本人のふたつの草野球チームに所属し、週末に野球を楽しんでいます。野球と言えば、ニューヨークで最もポピュラーなスポーツであり、なんといっても、ここニューヨークはヤンキースの本拠地です。渡米直後はレギュラーシーズンの終盤戦で、ポストシーズンでの松井秀喜選手の活躍はニューヨークのメディアでも連日大きく報道されていて、日本人として非常に誇らしいものでした。家族もヤンキース観戦は楽しみの一つであり、私たちの見に行った試合はなんと負けなしで、今年のポストシーズンも観戦を楽しみにしています。長男はメジャーリーグを見て野球が好きになったようで、地元のリトルリーグに参加しています。

研究に関しては、私の場合、留学前の数年間、基礎研究から遠ざかっており、最初は大変でしたが、ラボのメンバーの助けもあり徐々に軌道に乗りました。また、平成12年卒の國崎祐哉先生や岡山大学の橋本大吾先生が同じ建物におられたため、渡米直後のセットアップを非常に助けてもらいました。現在は、研究に没頭出来る充実した毎日を送っています。こちらに来て一年が経ち、当初のように日々の研究で困ることは減り、データも徐々に出始めたのですが、discussionやpresentationには苦労が絶えません。英語で自己表現をし、主張する能力のなさを痛感している毎日です。研究成果を上げること以上にこれらのcommunication skillを身につけることを目標に日々頑張っています。この恵まれた環境の中で、少しでも良い仕事ができればと考えています。