九州大学医学部 第一内科

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腫瘍学分野

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本邦では、悪性腫瘍患者の総数は年ごとに増加しており、全死亡者のうち悪性腫瘍による死亡は約30%で死亡原因の一位となっています。外科的切除可能な悪性腫瘍に対しては、これまでも優れた治療成績が報告されてきましたが、切除不能あるいは再発の進行期悪性腫瘍の治療については未だ満足できる状況ではありません。特に化学療法については、近年、新規の抗がん剤や分子標的薬剤の開発により治療成績の向上が認められていますが、治癒率は未だ低く、新たな治療法の確立が強く望まれています。

当研究室では、がんの治癒を目指した治療開発を目的として、がんの発生や転移の機序の解明をテーマとして、がん幹細胞の同定、エクソソームと腫瘍免疫、癌細胞の薬剤感受性などについて基礎研究を行っています。

がん幹細胞を標的とした治療法の開発

強力な化学療法を実施して癌が縮小したり消失したりした後も、癌が再び増大してくることは頻繁に起こります。これは化学療法によっても「癌幹細胞」が根絶できないためと考えられています。癌組織の中には少数の癌幹細胞が存在し、これが自己複製を行いながら癌を形成します(図1)。癌幹細胞は、癌ニッチと呼ばれる周囲の細胞の助けにより、細胞増殖の静止期に止まり、抗癌剤耐性を示します。そして化学療法後に、生き残った癌幹細胞を基に再び癌細胞が増殖するのです。従って癌幹細胞の生物学的特性を解明して、癌幹細胞を根絶する治療法を確立する必要があります。

図1:

現在までに癌幹細胞が同定されている腫瘍としては、急性骨髄性白血病をはじめとして、乳癌、脳腫瘍などがあります。これらの癌幹細胞は、細胞表面のマーカー抗原を指標として癌組織から回収され、これを免疫不全マウスに移植することにより造腫瘍能、自己複製能が確認されています。癌を形成している細胞の内のわずか0.2~1%が癌幹細胞であるため、生きた癌幹細胞の回収は簡単ではなく、未だその生物学的特性の詳細は明らかにはなっていません。

私たちの研究の目的は、消化器癌の組織中に存在するがん幹細胞を同定し、その生物学的特性を解析することです。また一方、免疫不全マウス移植系in vivo selection systemを用いて、癌転移の機序の解明を目的とした研究も行っています(図2)。様々な消化器悪性腫瘍における、癌幹細胞の特異的マーカーを同定し、これらを用いてより詳細な癌幹細胞の解析が可能となれば、新たな治療法の確立が可能となると期待されます。

(参考文献)
Shirakawa et al. Breast cancer stem cells selected by bone marrow microenvironment highly express CD44, CD49f, Notch-1. International session, 70th Annual Meeting of the Japanese Cancer Association, Oct  3. 2011.

図2:

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