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造血分化制御機構の解明

近年、胚性幹(ES)細胞やiPS細胞のような多能性幹細胞を得ることができるようになり、幹細胞の臨床への応用が期待されています。しかし、この実現のためには幹細胞が機能的な成熟細胞へと分化する制御システムの解明が不可欠です。

私たちの研究室では、幹細胞研究のなかで最も解析が進んでいるマウス造血システムをモデルとして、幹細胞からの分化制御メカニズムの解明に取り組んでいます。造血とは、自己複製能と多分化能を有した造血幹細胞が、幾つかの分化能を失った前駆細胞の段階を経て、最終的に機能が限定された一つの系統の細胞へと分化する過程を指します。当研究室ではこれまでに、ほとんど全ての血液前駆細胞の同定に成功しており、血液分化図を完成させてきました。この分化図上の分岐点に存在する前駆細胞を解析することにより、分化制御メカニズムを解明できると考えています。分化の分岐点での運命選択は、転写因子、エピジェネティクス、microRNAなどの細胞内プログラムと、サイトカインや骨髄微小環境(ニッチ)などの細胞外シグナルにより決定されると考えられます。

私たちはこれまでに、複数系統への分化能を保持した前駆細胞は各系統特異的な転写因子を弱く発現した”Lineage primimg”と呼ばれる準備状態にあること、どちらかの転写因子の発現を上昇させることにより細胞運命を決定できること、更に骨髄球系細胞の系統選択はGATA-2とC/EBPαという2つの転写因子の発現順序によってのみ単純に制御されていることを示し、造血分化機構における転写因制御の重要性を明らかにしてきました。

現在も、多くの遺伝子改変マウスを用いながら造血における転写因子の役割の解明を進めるとともに、その他の造血制御因子であるエピジェネティクスやmicroRNA、サイトカインなどの関与に関しても明らかにしたいと考えております。これら正常の造血機構の解明が、造血制御機構の破綻によりおこる白血病の病態解明の基礎となり、臨床検体を用いた病因解明、更に新規治療法の開発に繋がればと、日々努力しています。

(参考文献)
Akashi K, et al. A clonogenic common myeloid progenitor that gives rise to all myeloid lineages. Nature 404: 193-197, 2000

Miyamoto T, et al. Myeloid or lymphoid promiscuity as a critical step in hematopoietic lineage commitment. Dev Cell 3: 137-147, 2002

Iwasaki H, et al. The order of expression of transcription factors directs hierarchical specification of hematopoietic lineages. Genes Dev 20: 3010-3021, 2006

Mori Y, et al. Identification of the human eosinophil lineage-committed progenitor: revision of phenotypic definition of the human common myeloid progenitor. J Exp Med 206: 183-193, 2009

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