大学病院の腫瘍内科である私達は主に次の4つを診療の柱にしています。
- 1.多くの固形腫瘍を対象として、エビデンスに基づいた最新のがん診療を、適切に実践する。
- 2.より良い治療法の開発を目指し、エビデンスを創るための臨床試験を行う。
- 3.腫瘍に伴う多彩な合併症に対して、各診療グループと連携して治療を行う。
- 4.緩和医療と精神腫瘍学の基本を学び、早期より適切に実践する。
1.多くの固形腫瘍を対象とした最新のがん診療
近年のがん化学療法の発展に伴い、様々な新規薬剤や治療レジメンが用いられるようになりました。そのため、それぞれの患者さんに対して、エビデンスに基づいた適切な治療が要求されます。当科では、消化管がん(食道、胃、小・大腸)、肝胆膵臓がん、軟部肉腫、原発不明がん、呼吸器腫瘍など様々な疾患(表1)の診療を行っており、幅広い領域の「標準治療」を適切に選択し加療しています。標準治療を行っていく上では、薬の副作用に対処する「支持療法」も重要で、腫瘍内科の腕の見せ所のひとつと言えます。また遠方からの患者さんには、可能な限り地元での加療を叶えられるように地域がん診療拠点病院を中心とした各地域病院と連携し、「標準治療」を継続できるように転院・転医の配慮をしています。
2.新たな治療法のエビデンスを創る
より有効な治療や、「標準治療」のない稀な疾患の治療を開発するために、積極的に臨床試験を行っています。JCOG(日本臨床腫瘍グループ)やWJOG(西日本がん研究機構)などの日本を代表する臨床試験グループに参加しているのみならず、広く九州で活躍している腫瘍内科の仲間(KMOG:九州臨床腫瘍グループ、FMOG:福岡臨床腫瘍グループ)とも協力して自主的な臨床試験を行っています。
3.多彩な合併症に対する集学的治療
近年のがん患者数の増加や高齢化に伴い、様々な合併症や重複がんを有する患者さんが増えています。そのため、複数の診療科と連携し集学的に診療を行う必要性が高まっています。当科はがん治療の「コーディネーター」としても院内横断的に重要な役割を担っています。例えば、院内の各臓器別がん部会へ参加し、消化器内科・外科、放射線科、精神科とは個別に合同カンファレンスを行っています。また、当科には、血液疾患、膠原病、感染症、肝胆膵、循環器などのスペシャリストが群雄割拠しており、複雑な合併症に対しても相互に協力しながら診療しています。また、当科では、腹部エコーや消化管内視鏡などの検査も行っており、手技習得が可能です。
4.緩和医療と精神腫瘍学の基本を学び、早期より適切に実践する。
がん患者さんは、身体的・精神的苦痛を有していることが多いため、より早期から一人ひとりの患者さんを医学的のみならず社会的・心理的など多面的にサポートすることも我々腫瘍内科の大事な役割と考えます。私達は、緩和ケアチームや精神科医師・臨床心理士との連携とカンファレンスを通じて、緩和医療と精神腫瘍学の基本を学び、早期より実践しています。
また、看護士やリハビリテーションを担当する作業療法士との多職種カンファレンスを行って、様々な情報交換を活発に行っています。がんの進行に伴いより重点的な緩和医療を行う必要性が高まった際には、がん相談支援室と連携して、緩和病院や在宅緩和医療導入のための転院や転医支援を行っています。
がん診療において、私達は患者さんに提供する知識・技量だけでなく、「コーディネーター」としての役割も求められています。そのためには、高い総合診療力、他科あるいは患者・家族への説明能力、そしてこれらを裏づけるための分析力と論理的思考が必要です。病棟カンファレンスや勉強会を通じて、私達自身が切磋琢磨し、よりよい腫瘍内科であるよう常に意識しあっています。
カンファレンス日程表
一内科Medical Oncologyミニレクチャー
| 開催日時 | 毎週火曜(回診後)12:00~12:30 |
|---|---|
| 開催場所 | 九州大学病院 北11階 カンファレンス室 |
| 予定表 |
1.化学療法の基本と臨床試験 2.腫瘍生物学(基礎研究) 3.抗がん剤 4.オンコエマージェンシー 5.支持療法 6.臓器別治療1(食道、胃、大腸) 7.臓器別治療2(胆、膵) 8.臓器別治療3(肺)(縦隔腫瘍、軟部肉腫) 9.臓器別治療4(胚細胞腫瘍、原発不明癌) 10.緩和医療 |
腫瘍内科臨床カンファレンス(*隔週で放射線治療専門医の参加)
| 開催日時 | 毎週木曜日 15:30-17:00 |
|---|---|
| 開催場所 | 九州大学病院 北11階 カンファレンス室 |
腫瘍内科―精神科 リエゾンカンファレンス
| 開催日時 | 毎月第(3)4週火曜日 16:00-17:00 |
|---|---|
| 開催場所 | 九州大学病院 北11階 面談室 |

